ACROSEEDグループ・業務活動レポート
ACROSEED お客様インタビュー S社(総合商社系 システム会社)
お客様インタビュー
企業名:S社(総合商社系 システム会社)
キーワード:『外国人社員の家族のケア』
ACROSEEDインタビュアー
「新卒採用で中国へ出向された中国国籍の方がいらっしゃるようですが、給料などの労働条件などは変更したりされましたか?同じ給料を支給すると、現地のローカルスタッフとの違いからコミュニケーションなどに影響があるとも聞きますが…。」
人事ご担当者様
「特に違いなく同じです。親会社への出向という形態になっています。」
ACROSEEDインタビュアー
「例えば中国人が母国へ出向したときに、給料の水準が日本にいたときと同等レベルだったりすると、現地のスタッフからは『同じ国籍なのに本社採用というだけでどうして給料がそんなに違うのか??』といった不満が生じて、結果的にコミュニケーションに障害が出てしまうといったことがあるようです。」
人事ご担当者様
「なるほど、そういうことがあるのですね。今回はそうしたことはないようですが。」
ACROSEEDインタビュアー
「ホームページを拝見させていただき、御社はシステムの会社でよろしいですか?」
人事ご担当者様
「えぇ、そうです。親会社の100%出資の子会社で、IT部門を行なっています。基幹システムですとかパソコンなどのハードの周辺全般です。親会社とそのグループ全体のIT部門です。」
ACROSEEDインタビュアー
「貴社では何名ほど社員の方がいらっしゃるのですか?」
人事ご担当者様
「現在は300名ほどです。」
ACROSEEDインタビュアー
「その中で外国人の方は何名ほどいらっしゃいますか?」
人事ご担当者様
「今は7名います。」
ACROSEEDインタビュアー
「その7名は新卒などローカルスタッフの採用ですか?」
人事ご担当者様
「中国に出向している中国籍の者と、インド人が1名の2名は新卒採用ですけども、残りの5名はインドにある関連企業から紹介いただいて採用しました。はじめは契約社員というかたちで、日本語もインドで少し教育して8名ほど採用しました。1年経過した段階で、『契約を更新するにはちょっと…』という方は契約を解除させていただきました。残ったメンバーは現在正社員として雇用しています。こちらで採用活動して雇用したというのではありません。」
ACROSEEDインタビュアー
「中国の方とインドの方の新卒は、採用されたのは今年度ですか?」
人事ご担当者様
「いいえ、中国の者は2007年入社だったと思います。インドの者は2009年です。もう1人、中国の者で中途採用した者がいますが、辞めてしまいした。」
ACROSEEDインタビュアー
「最近は『外国人従業員の日本企業への定着のポイント』といった、外国人の採用や雇用にとどまらない『人材の定着』といった分野についても、専門家としての意見を求められることがあるのですが、退職された理由などを伺ってもよろしいですか?」
人事ご担当者様
「奥様の具合がちょっと悪くてらっしゃって…、けっこう重病でして。奥様も中国の方だったのですが、奥様が中国へ帰って中国で治療したいということで帰ってしまいました。」
ACROSEEDインタビュアー
「中国の医療も今はいいみたいですしね。」
人事ご担当者様
「中途採用でしたがまだ20代で若くて、中国語はもちろん、日本語も英語も達者でしたので、けっこう期待していたのですが、そういう事情でしたので…」
ACROSEEDインタビュアー
「そうした家庭の事情と言われてしまえば、しょうがないですしね。」
人事ご担当者様
「そうですねぇ。中国に出向している者もそうなのですが、いろいろ周囲に話しを聞いているとわりと奥様が日本に馴染めなくて、奥様が中国に帰りたいというケースがけっこうあるみたいです。やっぱり家族をとても大事にされる文化だからお父さんお母さんの近くにいたい、というのはあるみたいです。」
ACROSEEDインタビュアー
「そうですよね。中国の方ですとご夫婦が一人っ子ですから、当然、親御さんから見れば『いつになったら帰ってくるんだ』というのもあるでしょうし。」
人事ご担当者様
「奥さんが帰りたがるケースが多いような気がします。」
ACROSEEDインタビュアー
「日本人でも海外で働くにあたって、奥さんも一緒に行くといっても家族の協力がないと難しいですよね。」
人事ご担当者様
「不安もあるでしょうしね。」
ACROSEEDインタビュアー
「そこのあたりに『外国人従業員の定着』のヒントがありそうですね。奥様を巻き込んでフレンドシップとかですとか。」
人事ご担当者様
「そうですよねぇ。あとは住まいなどを配慮してあげるとかですかね。今、在籍しているインドの者などは、葛西の方にインドの方が多く住んでいるコミュニティがあるようで、そのインドの者たちもそちらに住んでいるのですが、奥様もそこではお友だちもたくさんいてうまくいっているようです。そういったところも配慮するとよくなるのかなぁと思います。」
ACROSEEDインタビュアー
「そうですねぇ、そうして考えると、それだけでもけっこう違いますよね。」
人事ご担当者様
「自分が海外に行ったら、そういう日本人のコミュニティのような場所があれば、やっぱり安心すると思います。」
ACROSEEDインタビュアー
「日本でも、タイの方のコミュニティサイトというのでしょうか、『ワイワイタイランド』という積極的に活動しているサイトもありますが、そうした情報を外国籍の従業員だけではなくご家族にも提供して、ご家族に対してケアしていくこともいいかもしれませんよね。やはり、人って気にかけてもらえているということを感じるだけでも気持ち的には違うでしょうから。
いやぁ、なるほど、それいいですねぇ。家族は大事ですよね。」
人事ご担当者様
「今、中国に出向している中国人社員も、奥様が日本にはあまり戻りたくないというようなことをおっしゃっているようです…。」
ACROSEEDインタビュアー
「そうかぁ、日本にいる外国人はやっぱりご家族の影響が大きいですねぇ。」
人事ご担当者様
「えぇ、大きいのかなと思います。」
ACROSEEDインタビュアー
「外国人の定着といったことをわたし自身考えたときに、ご家族にベクトルがいってなかったです。」
人事ご担当者様
「なかなか人事としてご家族のケアというと難しいところもあると思いますが。
例えば中国の国籍の社員が何人かいれば、そのご家族を集めて何かの会などをつくってということであれば、奥様同士も仲良くなったりして。」
ACROSEEDインタビュアー「なるほど、いいアイデアですね!!
海外の方はお給料を見せ合ったりしますから、『○○さんの方がお給料高いわよ』みたいなことで、仲が悪くなったりして(笑)。」
人事ご担当者様
「うちの子の方がかわいいとかね(笑)。」
ACROSEEDインタビュアー
「中国の方とインドの方の新卒採用の理由について伺ってもいいですか?」
人事ご担当者様
「親会社がグローバルに経営を展開されているのですが、そこでコーポレートブランチというのですが、海外の現地法人ですね、そこにシステムとしても人材が必要になってくるだろうということで、インドのメンバーもそうなのですが、そこのあたりをターゲットにして採用しました。ただ、今はそのコーポレートブランチが当初ほど広がっていませんので、中国に出向している者以外は現在も日本にいます。そのようなわけでグローバル対応のための人材です。」
ACROSEEDインタビュアー
「親会社のグローバル展開を見越して、先に先にそうした人材を確保していつでも対応できるように、ということですね。」
人事ご担当者様
「そういう予定だったのですが…。今もコーポレートブランチなどグローバル展開されてはいるのですが、当社でも現地法人の計画もあがってはいましたが、今は白紙に戻っています。将来的にはわかりませんが、今はちょっと止まっている状態ですので、1人以外は全員日本にいます。」
ACROSEEDインタビュアー
「なるほど、そういうわけですか。世の中の景気の状態もありますしね。それでも実際に外国人を新卒採用されて、外国籍の方々が働き出してから、何か困ったことですとか、驚いたことですとかございますか?よく外国との異文化のあたりが言われますが。」
人事ご担当者様
「そうですねぇ…。とくにインド人の者は、突然、会社を1ヶ月休暇をとったりしましたね。年齢的も20代後半の方だったのですが、次々と結婚されて、結婚されたときは1ヶ月から1ヶ月半はインドではいろいろイベントがあるようでして、そういうのがあって結婚休暇ですとか有給休暇をほとんど使ってお休みをとっていました。現場としては仕事を任せていますので、それは困るというのは言っています。」
ACROSEEDインタビュアー
「契約社員でいらっしゃった方々も、20代後半の結婚適齢期だったのですね。」
人事ご担当者様
「そうなんです。ほとんどの方が正社員になってから結婚しました。結婚した者全員がそれぞれ1ヶ月ですと1ヶ月半ですとか休みをとってインドに帰ってしまって…。」
ACROSEEDインタビュアー
「ほんとですか!?わたし自身はじめて聞きました。インドはそうなのですね!?」
人事ご担当者様
「インドではふつうらしいです。結婚式には人が1,000人とか2,000人とか来て、盛大にやられるみたいです。」
ACROSEEDインタビュアー
「わたしもビザ業務ではやはり中国の方が多いのですが、インドの方が少なくて、そうした生活スタイルのお話しを伺う機会がなかったものですから驚きました。」
人事ご担当者様
「やっぱり食べるものが難しくて、牛肉とか食べられないので、食事面では自分たちでお弁当を持ってきているみたいですけど。
みんなで『ちょっとご飯でも食べに行きましょうか』というときはお店を選ぶのがちょっとたいへんですけど、そういったところに気を使うのはありますね。
あとは、そうですね、わりとわかっていなくても『はい、はい』というところがあるようでして、そのときは『はい、わかりました』と言うらしいのですが、実はわかっていないということがけっこう多いらしいです。」
ITのスキルはけっこう高いのですが、やっぱり日本語がどうしても壁になりますので、本人たちもそのメンバーでかたまって自分たちのことばで話しをしてしまいますね。しょうがないのかもしれませんが。」
ACROSEEDインタビュアー
「そうしますと、新卒の方はある程度日本語のスキルを求めてらっしゃるのですか?」
人事ご担当者様
「そうですね、新卒で採用している者は日本の大学の留学生ですので、日本語はけっこう話せます。中国に出向している者も日本語検定1級を持っています。普段の生活はまったく問題ないですね。」
ACROSEEDインタビュアー
「立派ですねぇ。インドの方は英語の方が話すのが得意みたいですね。」
人事ご担当者様
「そのようですね。インドは向こうの言葉がたくさんあるらしくて、出身、地方によって言葉が違うらしく、彼ら同士は英語でコミュニケーションしています。」
ACROSEEDインタビュアー
「なるほど、面白いですねぇ。
さきほどは休暇のお話しを伺えたのですが、学歴が高かったり自分のスキルに自身があったりする外国人が日本企業に入ってくると、年功序列ではなくキャリアを積み重ねていくうえで『キャリアアップするにはどうすればいいのか』という主張がどうしても強いといったことを聞くのですが、ご本人たちから要望が上がってきたりしますか?」
人事ご担当者様
「そこの要望は上がってこないですねぇ。今はシステムの仕事をしていただいて、将来についてはあまり会社としても見られていないです。今後はどのようになるかわかりませんが、親会社の動きもありますし。今後またコーポレートブランチの話しが進むかもしれませんし、海外の案件は今後増えてくる予定ですので、そちらに異動になることも考えられますが。」
ACROSEEDインタビュアー「仕事に対しての評価なども、日本人の方と同様の評価制度ですか?」
人事ご担当者様
「そうです、同じです。目標立ててその実績を評価する成果の項目と、行動評価は同じ制度を使用しています。言葉の壁ですとか考えるとちょっとつらいかもしれませんけども。」
ACROSEEDインタビュアー
「日本人の場合ですと、その評価結果に対して多少不満があってもそのまま受入れるようなところがあると思いますが、インドの方はいかがですか?」
人事ご担当者様
「そうですねぇ、今のメンバーは評価結果に対して不満ですとか、そういうところは聞かないです。」
ACROSEEDインタビュアー
「契約社員から正社員になられた方は、とくにスタートが同じだったと思いますが、今は給与などの処遇で差がついていたりしますか?」
人事ご担当者様
「まだ差はないです。入社してそれほど経っていないというのもありますし、これからは差が生じてくると思いますが、今は差がないです。」
ACROSEEDインタビュアー
「他社さんで伺ったことがあるのですが、中国の方などは給料を見せ合うといったところがあるようで、数年たって評価で差がつき出すと『同じ仕事しているのにどうして給料が違うんだ』といったことがあったりするのかと思いまして。」
人事ご担当者様
「そうですね、今は同じですが将来的に出てくるかもしれませんね。」
ACROSEEDインタビュアー
「評価については日本人の方と同じで、処遇については現在は差が生じていないという状況ということですね。
外国籍の方からすると『日本人はよく働く』といったことが言われますが、ワーク・ライフ・バランンスの面ですと外国籍の方はどのような印象がありますか?」
人事ご担当者様
「やっぱり家庭を日本人以上に大切にしていらっしゃるというのはあります。最近ですと、新卒で採用した者が育児休業をとっていたりします。」
ACROSEEDインタビュアー
「えっ!?男性ですか?」
人事ご担当者様
「えぇ、男性です。当社では日本人の男性でもとっている者もいるのですが、まだ3名ほどですのでけっこう目立っていました。」
ACROSEEDインタビュアー
「育児休業の期間はどのくらいですか?」
人事ご担当者様
「期間は2ヶ月ほどでした。奥さんの出産でインドへ帰国するので一緒に帰国して、2ヶ月ほどお休みしてまた一緒に日本に戻ってきたというケースでした。」
ACROSEEDインタビュアー
「なるほど、お子さんの首が据わってきたころに戻ってきたという感じですね。育児介護休業法が3年前ですかね、改正されて今年から全面的に施行されて、改正当時は、男性の育児休業の取得率は1%なかったのですが、昨年あたりで3%になったと記憶していますが(2.63%で3%ではありませんでした…)、育児休業の取得率けっこう高いですね。取得を促進するようなアナウンスなどをされているのですか?」
人事ご担当者様
「そうではないのですが、育休をとった者は、奥さまが産後あまり調子が良くなかったという経緯がありました。家事ができないので自分がやらないといけないという感じで、あまりポジティブな理由ではなかったですね。制度としてはもちろんありますけども、積極的にとりましょうということではないです。インドの社員がとったのがびっくりしましたが…。」
ACROSEEDインタビュアー
「そうですね、逆に育児休業の制度をよく知っていましたね。」
人事ご担当者様
「そうですよね。おそらく同じ部署の上司がとっていたからかもしれません。その上司から聞いていたのかもしれませんね。」
ACROSEEDインタビュアー
「『お前も育児休業とれるぞ』みたいに」
人事ご担当者様
「そうかもしれません。」
ACROSEEDインタビュアー
「就業規則や育児介護休業規程などを英語で整備されていたりしますか?」
人事ご担当者様
「いえ、特にないです。」
ACROSEEDインタビュアー
「外国人社員の人数が増えてくると、規則などを英語で整備という必要性もあがってくると思いますが、組織の中でいうとまだマイノリティですし。」
人事ご担当者様
「そうですねぇ。そういったところが当社ではまだ対応できていませんので、今後、法律の改正などのアナウンスにしても難しいところはあると思います。人事制度を先日改正して社員への説明会もしたのですが、どこまで理解できたかなぁというのはありました。もう少しフォローしていかなければいけないと思います。」
ACROSEEDインタビュアー
「インドのITエンジニアは自己主張が強いようなイメージがあったのですが、意外にもけっこうまとまりよくされていらっしゃるようですね。」
人事ご担当者様
「そうですね。将来についてはどのように考えているかわからないですけども、今はまとまっています。」
ACROSEEDインタビュアー
「現場の所属長から、『外国人たちがこんなこと言ってきている』といったこともなく…。」
人事ご担当者様
「とくにないですね。『お休みが取りたいのですけど』はけっこうありますけも。」
ACROSEEDインタビュアー
「お休みはしっかりとられているようですしね。」
人事ご担当者様
「お休みはもうばっちりとっています。」
ACROSEEDインタビュアー
「外国人の方々に日本語の教育ですとか、外国人に特化した研修などはされていますか?」
人事ご担当者様
「正社員になる前の契約社員だったときは、日本語検定の3級相当をとらないと契約の更新はないという条件をつけていましたので、現場としてもちょっと勉強させないといけないということで、人事としては行なっていないのですけども、現場で日本語を教えていました。時間外に日本語レッスンをしてくれていたり。」
ACROSEEDインタビュアー
「チームワークの良さを感じますね。」
人事ご担当者様
「そうなのでしょうかねぇ、小学生くらいのドリルなどをさせたり、宿題にしたりしたみたいです。」
ACROSEEDインタビュアー
「宿題ですか!?」
人事ご担当者様
「またびっくりしたのが、その宿題を外国人の1人がとってもきれいな字で、明らかに自分の字ではないものを出してきたんです。『これ、ほんとうに自分で書いたの』って聞いたら、『やった』って言うんです。でも明らかに違いますので『ほんとにほんとに自分で書いたの』とよくよく聞いていくと、当時、彼らはゲストハウスに住んでいたのですが、そこにいる日本人女性に書いてもらったって。」
ACROSEEDインタビュアー
「そんなのすぐにわかるだろう(笑)」
人事ご担当者様
「『他の人に書いてもらって意味はあるの』と、そのときはかなり怒られたみたいです。まぁ、おもしろいエピソードでしたけども。
今はとくに外国人に特化した研修などは行っていませんが、通常の当社の研修のカリキュラムには他の社員と同様に参加しています。」
ACROSEEDインタビュアー
「そうしますと、日本人の方やインドの方を中心に外国籍の方も同様に研修をされて、教育の制度も変わらずといったところですね。」
人事ご担当者様
「はい、そうです。」
ACROSEEDインタビュアー
「他でもあまり日本人と外国人とで差を設けていないという会社さんは多いですね。ご意見を伺いますと『当社で参考になりますか?』とおっしゃられたりします。人事などの管理部門の方は、ヨコのつながりといいますか、なかなか他社さんの情報が入りづらいですし、そういったところも今回ご意見を伺っている目的の1つでもあります。
外国人に限らなくても結構なのですが、人事部門として将来的にこういう制度ですとか、変えていきたいといったことはありますか?」
人事ご担当者様
「まだ構想段階ですけれども、人事制度を“スペシャリスト”と“ゼネラリスト”といったように複線型にしていかないといけないと考えています。下流の工程はどんどん海外へ比率が高まっていくと思われますので、今後はコンサルタントの領域にも広げていかないといけないと考えています。コンサルタントとして上流領域を担当していく者と、技術よりのITのスペシャリストといったところで複線型にして、給与などの処遇に差をつけないと、みんなが同じようには役割も上がっていけないですし、ポジションも限られてきますから、そうしたところを考えていかなければならないのかなという話しはしています。今は1つで行っていますので、プロジェクトリーダーをしている者もプログラミングを専門にしている者も同じですので、そこは考えていきたいですね。」
ACROSEEDインタビュアー
「就業規則についてもお伺いしたいのですが、外国人の方のための規定はございますか?」
人事ご担当者様
「今はないです。ただ、規定を入れていかなければならないとは考えています。別規程にするかは別として、在留資格に関することですとか、例えば具体的には“退職になるケース”のところで在留資格の期限が過ぎたら退職となるとは思うのですが、そうしたことは規定されていません。」
ACROSEEDインタビュアー
「在留資格で働けるのか働けないのかですとか、労働契約は有効か無効かというのは、また別の問題ですしね。実際には労働契約として有効だとしても、在留期限が過ぎて働けば入管法上は不法就労となってしまいますので、在留期限が過ぎて労働契約を解除することに合理性は十分ありますので、日本人従業員を解雇するときのようなトラブルは、通常、ありません。」
人事ご担当者様
「ただそうした“退職になるケース”というのは、規定に入れておくべきなのですよね?」
ACROSEEDインタビュアー
「そうですね。就業上のルールとして記載するべきですし、ひとつひとつ丁寧に規定にしていくべきです。労働契約だけ残ってしまうのも不自然ですし。」
人事ご担当者様
「契約書にもそうした“在留資格がなくなったら契約は終了します”といったことをちゃんと明記していかなければいけないのですよね?」
ACROSEEDインタビュアー
「そうですね。」
人事ご担当者様
「そうしたところの整備はまだできてないですね…」
ACROSEEDインタビュアー
「いろいろなお話しありがとうございます。すいません、最後に中国の方やインドの方を採用するにあたって重視するポイントはどのようなところでしたか?さきほど日本語というお話しもありましたが。」
人事ご担当者様
「そうですね、日本語のところは大きかったです。最初から日本語は達者でしたので、ポイントは大きかったです。」
ACROSEEDインタビュアー
「本当に今日は貴重なお話しありがとうございました。」
企業名:S社(総合商社系 システム会社)
キーワード:『外国人社員の家族のケア』
ACROSEEDインタビュアー
「新卒採用で中国へ出向された中国国籍の方がいらっしゃるようですが、給料などの労働条件などは変更したりされましたか?同じ給料を支給すると、現地のローカルスタッフとの違いからコミュニケーションなどに影響があるとも聞きますが…。」
人事ご担当者様
「特に違いなく同じです。親会社への出向という形態になっています。」
ACROSEEDインタビュアー
「例えば中国人が母国へ出向したときに、給料の水準が日本にいたときと同等レベルだったりすると、現地のスタッフからは『同じ国籍なのに本社採用というだけでどうして給料がそんなに違うのか??』といった不満が生じて、結果的にコミュニケーションに障害が出てしまうといったことがあるようです。」
人事ご担当者様
「なるほど、そういうことがあるのですね。今回はそうしたことはないようですが。」
ACROSEEDインタビュアー
「ホームページを拝見させていただき、御社はシステムの会社でよろしいですか?」
人事ご担当者様
「えぇ、そうです。親会社の100%出資の子会社で、IT部門を行なっています。基幹システムですとかパソコンなどのハードの周辺全般です。親会社とそのグループ全体のIT部門です。」
ACROSEEDインタビュアー
「貴社では何名ほど社員の方がいらっしゃるのですか?」
人事ご担当者様
「現在は300名ほどです。」
ACROSEEDインタビュアー
「その中で外国人の方は何名ほどいらっしゃいますか?」
人事ご担当者様
「今は7名います。」
ACROSEEDインタビュアー
「その7名は新卒などローカルスタッフの採用ですか?」
人事ご担当者様
「中国に出向している中国籍の者と、インド人が1名の2名は新卒採用ですけども、残りの5名はインドにある関連企業から紹介いただいて採用しました。はじめは契約社員というかたちで、日本語もインドで少し教育して8名ほど採用しました。1年経過した段階で、『契約を更新するにはちょっと…』という方は契約を解除させていただきました。残ったメンバーは現在正社員として雇用しています。こちらで採用活動して雇用したというのではありません。」
ACROSEEDインタビュアー
「中国の方とインドの方の新卒は、採用されたのは今年度ですか?」
人事ご担当者様
「いいえ、中国の者は2007年入社だったと思います。インドの者は2009年です。もう1人、中国の者で中途採用した者がいますが、辞めてしまいした。」
ACROSEEDインタビュアー
「最近は『外国人従業員の日本企業への定着のポイント』といった、外国人の採用や雇用にとどまらない『人材の定着』といった分野についても、専門家としての意見を求められることがあるのですが、退職された理由などを伺ってもよろしいですか?」
人事ご担当者様
「奥様の具合がちょっと悪くてらっしゃって…、けっこう重病でして。奥様も中国の方だったのですが、奥様が中国へ帰って中国で治療したいということで帰ってしまいました。」
ACROSEEDインタビュアー
「中国の医療も今はいいみたいですしね。」
人事ご担当者様
「中途採用でしたがまだ20代で若くて、中国語はもちろん、日本語も英語も達者でしたので、けっこう期待していたのですが、そういう事情でしたので…」
ACROSEEDインタビュアー
「そうした家庭の事情と言われてしまえば、しょうがないですしね。」
人事ご担当者様
「そうですねぇ。中国に出向している者もそうなのですが、いろいろ周囲に話しを聞いているとわりと奥様が日本に馴染めなくて、奥様が中国に帰りたいというケースがけっこうあるみたいです。やっぱり家族をとても大事にされる文化だからお父さんお母さんの近くにいたい、というのはあるみたいです。」
ACROSEEDインタビュアー
「そうですよね。中国の方ですとご夫婦が一人っ子ですから、当然、親御さんから見れば『いつになったら帰ってくるんだ』というのもあるでしょうし。」
人事ご担当者様
「奥さんが帰りたがるケースが多いような気がします。」
ACROSEEDインタビュアー
「日本人でも海外で働くにあたって、奥さんも一緒に行くといっても家族の協力がないと難しいですよね。」
人事ご担当者様
「不安もあるでしょうしね。」
ACROSEEDインタビュアー
「そこのあたりに『外国人従業員の定着』のヒントがありそうですね。奥様を巻き込んでフレンドシップとかですとか。」
人事ご担当者様
「そうですよねぇ。あとは住まいなどを配慮してあげるとかですかね。今、在籍しているインドの者などは、葛西の方にインドの方が多く住んでいるコミュニティがあるようで、そのインドの者たちもそちらに住んでいるのですが、奥様もそこではお友だちもたくさんいてうまくいっているようです。そういったところも配慮するとよくなるのかなぁと思います。」
ACROSEEDインタビュアー
「そうですねぇ、そうして考えると、それだけでもけっこう違いますよね。」
人事ご担当者様
「自分が海外に行ったら、そういう日本人のコミュニティのような場所があれば、やっぱり安心すると思います。」
ACROSEEDインタビュアー
「日本でも、タイの方のコミュニティサイトというのでしょうか、『ワイワイタイランド』という積極的に活動しているサイトもありますが、そうした情報を外国籍の従業員だけではなくご家族にも提供して、ご家族に対してケアしていくこともいいかもしれませんよね。やはり、人って気にかけてもらえているということを感じるだけでも気持ち的には違うでしょうから。
いやぁ、なるほど、それいいですねぇ。家族は大事ですよね。」
人事ご担当者様
「今、中国に出向している中国人社員も、奥様が日本にはあまり戻りたくないというようなことをおっしゃっているようです…。」
ACROSEEDインタビュアー
「そうかぁ、日本にいる外国人はやっぱりご家族の影響が大きいですねぇ。」
人事ご担当者様
「えぇ、大きいのかなと思います。」
ACROSEEDインタビュアー
「外国人の定着といったことをわたし自身考えたときに、ご家族にベクトルがいってなかったです。」
人事ご担当者様
「なかなか人事としてご家族のケアというと難しいところもあると思いますが。
例えば中国の国籍の社員が何人かいれば、そのご家族を集めて何かの会などをつくってということであれば、奥様同士も仲良くなったりして。」
ACROSEEDインタビュアー「なるほど、いいアイデアですね!!
海外の方はお給料を見せ合ったりしますから、『○○さんの方がお給料高いわよ』みたいなことで、仲が悪くなったりして(笑)。」
人事ご担当者様
「うちの子の方がかわいいとかね(笑)。」
ACROSEEDインタビュアー
「中国の方とインドの方の新卒採用の理由について伺ってもいいですか?」
人事ご担当者様
「親会社がグローバルに経営を展開されているのですが、そこでコーポレートブランチというのですが、海外の現地法人ですね、そこにシステムとしても人材が必要になってくるだろうということで、インドのメンバーもそうなのですが、そこのあたりをターゲットにして採用しました。ただ、今はそのコーポレートブランチが当初ほど広がっていませんので、中国に出向している者以外は現在も日本にいます。そのようなわけでグローバル対応のための人材です。」
ACROSEEDインタビュアー
「親会社のグローバル展開を見越して、先に先にそうした人材を確保していつでも対応できるように、ということですね。」
人事ご担当者様
「そういう予定だったのですが…。今もコーポレートブランチなどグローバル展開されてはいるのですが、当社でも現地法人の計画もあがってはいましたが、今は白紙に戻っています。将来的にはわかりませんが、今はちょっと止まっている状態ですので、1人以外は全員日本にいます。」
ACROSEEDインタビュアー
「なるほど、そういうわけですか。世の中の景気の状態もありますしね。それでも実際に外国人を新卒採用されて、外国籍の方々が働き出してから、何か困ったことですとか、驚いたことですとかございますか?よく外国との異文化のあたりが言われますが。」
人事ご担当者様
「そうですねぇ…。とくにインド人の者は、突然、会社を1ヶ月休暇をとったりしましたね。年齢的も20代後半の方だったのですが、次々と結婚されて、結婚されたときは1ヶ月から1ヶ月半はインドではいろいろイベントがあるようでして、そういうのがあって結婚休暇ですとか有給休暇をほとんど使ってお休みをとっていました。現場としては仕事を任せていますので、それは困るというのは言っています。」
ACROSEEDインタビュアー
「契約社員でいらっしゃった方々も、20代後半の結婚適齢期だったのですね。」
人事ご担当者様
「そうなんです。ほとんどの方が正社員になってから結婚しました。結婚した者全員がそれぞれ1ヶ月ですと1ヶ月半ですとか休みをとってインドに帰ってしまって…。」
ACROSEEDインタビュアー
「ほんとですか!?わたし自身はじめて聞きました。インドはそうなのですね!?」
人事ご担当者様
「インドではふつうらしいです。結婚式には人が1,000人とか2,000人とか来て、盛大にやられるみたいです。」
ACROSEEDインタビュアー
「わたしもビザ業務ではやはり中国の方が多いのですが、インドの方が少なくて、そうした生活スタイルのお話しを伺う機会がなかったものですから驚きました。」
人事ご担当者様
「やっぱり食べるものが難しくて、牛肉とか食べられないので、食事面では自分たちでお弁当を持ってきているみたいですけど。
みんなで『ちょっとご飯でも食べに行きましょうか』というときはお店を選ぶのがちょっとたいへんですけど、そういったところに気を使うのはありますね。
あとは、そうですね、わりとわかっていなくても『はい、はい』というところがあるようでして、そのときは『はい、わかりました』と言うらしいのですが、実はわかっていないということがけっこう多いらしいです。」
ITのスキルはけっこう高いのですが、やっぱり日本語がどうしても壁になりますので、本人たちもそのメンバーでかたまって自分たちのことばで話しをしてしまいますね。しょうがないのかもしれませんが。」
ACROSEEDインタビュアー
「そうしますと、新卒の方はある程度日本語のスキルを求めてらっしゃるのですか?」
人事ご担当者様
「そうですね、新卒で採用している者は日本の大学の留学生ですので、日本語はけっこう話せます。中国に出向している者も日本語検定1級を持っています。普段の生活はまったく問題ないですね。」
ACROSEEDインタビュアー
「立派ですねぇ。インドの方は英語の方が話すのが得意みたいですね。」
人事ご担当者様
「そのようですね。インドは向こうの言葉がたくさんあるらしくて、出身、地方によって言葉が違うらしく、彼ら同士は英語でコミュニケーションしています。」
ACROSEEDインタビュアー
「なるほど、面白いですねぇ。
さきほどは休暇のお話しを伺えたのですが、学歴が高かったり自分のスキルに自身があったりする外国人が日本企業に入ってくると、年功序列ではなくキャリアを積み重ねていくうえで『キャリアアップするにはどうすればいいのか』という主張がどうしても強いといったことを聞くのですが、ご本人たちから要望が上がってきたりしますか?」
人事ご担当者様
「そこの要望は上がってこないですねぇ。今はシステムの仕事をしていただいて、将来についてはあまり会社としても見られていないです。今後はどのようになるかわかりませんが、親会社の動きもありますし。今後またコーポレートブランチの話しが進むかもしれませんし、海外の案件は今後増えてくる予定ですので、そちらに異動になることも考えられますが。」
ACROSEEDインタビュアー「仕事に対しての評価なども、日本人の方と同様の評価制度ですか?」
人事ご担当者様
「そうです、同じです。目標立ててその実績を評価する成果の項目と、行動評価は同じ制度を使用しています。言葉の壁ですとか考えるとちょっとつらいかもしれませんけども。」
ACROSEEDインタビュアー
「日本人の場合ですと、その評価結果に対して多少不満があってもそのまま受入れるようなところがあると思いますが、インドの方はいかがですか?」
人事ご担当者様
「そうですねぇ、今のメンバーは評価結果に対して不満ですとか、そういうところは聞かないです。」
ACROSEEDインタビュアー
「契約社員から正社員になられた方は、とくにスタートが同じだったと思いますが、今は給与などの処遇で差がついていたりしますか?」
人事ご担当者様
「まだ差はないです。入社してそれほど経っていないというのもありますし、これからは差が生じてくると思いますが、今は差がないです。」
ACROSEEDインタビュアー
「他社さんで伺ったことがあるのですが、中国の方などは給料を見せ合うといったところがあるようで、数年たって評価で差がつき出すと『同じ仕事しているのにどうして給料が違うんだ』といったことがあったりするのかと思いまして。」
人事ご担当者様
「そうですね、今は同じですが将来的に出てくるかもしれませんね。」
ACROSEEDインタビュアー
「評価については日本人の方と同じで、処遇については現在は差が生じていないという状況ということですね。
外国籍の方からすると『日本人はよく働く』といったことが言われますが、ワーク・ライフ・バランンスの面ですと外国籍の方はどのような印象がありますか?」
人事ご担当者様
「やっぱり家庭を日本人以上に大切にしていらっしゃるというのはあります。最近ですと、新卒で採用した者が育児休業をとっていたりします。」
ACROSEEDインタビュアー
「えっ!?男性ですか?」
人事ご担当者様
「えぇ、男性です。当社では日本人の男性でもとっている者もいるのですが、まだ3名ほどですのでけっこう目立っていました。」
ACROSEEDインタビュアー
「育児休業の期間はどのくらいですか?」
人事ご担当者様
「期間は2ヶ月ほどでした。奥さんの出産でインドへ帰国するので一緒に帰国して、2ヶ月ほどお休みしてまた一緒に日本に戻ってきたというケースでした。」
ACROSEEDインタビュアー
「なるほど、お子さんの首が据わってきたころに戻ってきたという感じですね。育児介護休業法が3年前ですかね、改正されて今年から全面的に施行されて、改正当時は、男性の育児休業の取得率は1%なかったのですが、昨年あたりで3%になったと記憶していますが(2.63%で3%ではありませんでした…)、育児休業の取得率けっこう高いですね。取得を促進するようなアナウンスなどをされているのですか?」
人事ご担当者様
「そうではないのですが、育休をとった者は、奥さまが産後あまり調子が良くなかったという経緯がありました。家事ができないので自分がやらないといけないという感じで、あまりポジティブな理由ではなかったですね。制度としてはもちろんありますけども、積極的にとりましょうということではないです。インドの社員がとったのがびっくりしましたが…。」
ACROSEEDインタビュアー
「そうですね、逆に育児休業の制度をよく知っていましたね。」
人事ご担当者様
「そうですよね。おそらく同じ部署の上司がとっていたからかもしれません。その上司から聞いていたのかもしれませんね。」
ACROSEEDインタビュアー
「『お前も育児休業とれるぞ』みたいに」
人事ご担当者様
「そうかもしれません。」
ACROSEEDインタビュアー
「就業規則や育児介護休業規程などを英語で整備されていたりしますか?」
人事ご担当者様
「いえ、特にないです。」
ACROSEEDインタビュアー
「外国人社員の人数が増えてくると、規則などを英語で整備という必要性もあがってくると思いますが、組織の中でいうとまだマイノリティですし。」
人事ご担当者様
「そうですねぇ。そういったところが当社ではまだ対応できていませんので、今後、法律の改正などのアナウンスにしても難しいところはあると思います。人事制度を先日改正して社員への説明会もしたのですが、どこまで理解できたかなぁというのはありました。もう少しフォローしていかなければいけないと思います。」
ACROSEEDインタビュアー
「インドのITエンジニアは自己主張が強いようなイメージがあったのですが、意外にもけっこうまとまりよくされていらっしゃるようですね。」
人事ご担当者様
「そうですね。将来についてはどのように考えているかわからないですけども、今はまとまっています。」
ACROSEEDインタビュアー
「現場の所属長から、『外国人たちがこんなこと言ってきている』といったこともなく…。」
人事ご担当者様
「とくにないですね。『お休みが取りたいのですけど』はけっこうありますけも。」
ACROSEEDインタビュアー
「お休みはしっかりとられているようですしね。」
人事ご担当者様
「お休みはもうばっちりとっています。」
ACROSEEDインタビュアー
「外国人の方々に日本語の教育ですとか、外国人に特化した研修などはされていますか?」
人事ご担当者様
「正社員になる前の契約社員だったときは、日本語検定の3級相当をとらないと契約の更新はないという条件をつけていましたので、現場としてもちょっと勉強させないといけないということで、人事としては行なっていないのですけども、現場で日本語を教えていました。時間外に日本語レッスンをしてくれていたり。」
ACROSEEDインタビュアー
「チームワークの良さを感じますね。」
人事ご担当者様
「そうなのでしょうかねぇ、小学生くらいのドリルなどをさせたり、宿題にしたりしたみたいです。」
ACROSEEDインタビュアー
「宿題ですか!?」
人事ご担当者様
「またびっくりしたのが、その宿題を外国人の1人がとってもきれいな字で、明らかに自分の字ではないものを出してきたんです。『これ、ほんとうに自分で書いたの』って聞いたら、『やった』って言うんです。でも明らかに違いますので『ほんとにほんとに自分で書いたの』とよくよく聞いていくと、当時、彼らはゲストハウスに住んでいたのですが、そこにいる日本人女性に書いてもらったって。」
ACROSEEDインタビュアー
「そんなのすぐにわかるだろう(笑)」
人事ご担当者様
「『他の人に書いてもらって意味はあるの』と、そのときはかなり怒られたみたいです。まぁ、おもしろいエピソードでしたけども。
今はとくに外国人に特化した研修などは行っていませんが、通常の当社の研修のカリキュラムには他の社員と同様に参加しています。」
ACROSEEDインタビュアー
「そうしますと、日本人の方やインドの方を中心に外国籍の方も同様に研修をされて、教育の制度も変わらずといったところですね。」
人事ご担当者様
「はい、そうです。」
ACROSEEDインタビュアー
「他でもあまり日本人と外国人とで差を設けていないという会社さんは多いですね。ご意見を伺いますと『当社で参考になりますか?』とおっしゃられたりします。人事などの管理部門の方は、ヨコのつながりといいますか、なかなか他社さんの情報が入りづらいですし、そういったところも今回ご意見を伺っている目的の1つでもあります。
外国人に限らなくても結構なのですが、人事部門として将来的にこういう制度ですとか、変えていきたいといったことはありますか?」
人事ご担当者様
「まだ構想段階ですけれども、人事制度を“スペシャリスト”と“ゼネラリスト”といったように複線型にしていかないといけないと考えています。下流の工程はどんどん海外へ比率が高まっていくと思われますので、今後はコンサルタントの領域にも広げていかないといけないと考えています。コンサルタントとして上流領域を担当していく者と、技術よりのITのスペシャリストといったところで複線型にして、給与などの処遇に差をつけないと、みんなが同じようには役割も上がっていけないですし、ポジションも限られてきますから、そうしたところを考えていかなければならないのかなという話しはしています。今は1つで行っていますので、プロジェクトリーダーをしている者もプログラミングを専門にしている者も同じですので、そこは考えていきたいですね。」
ACROSEEDインタビュアー
「就業規則についてもお伺いしたいのですが、外国人の方のための規定はございますか?」
人事ご担当者様
「今はないです。ただ、規定を入れていかなければならないとは考えています。別規程にするかは別として、在留資格に関することですとか、例えば具体的には“退職になるケース”のところで在留資格の期限が過ぎたら退職となるとは思うのですが、そうしたことは規定されていません。」
ACROSEEDインタビュアー
「在留資格で働けるのか働けないのかですとか、労働契約は有効か無効かというのは、また別の問題ですしね。実際には労働契約として有効だとしても、在留期限が過ぎて働けば入管法上は不法就労となってしまいますので、在留期限が過ぎて労働契約を解除することに合理性は十分ありますので、日本人従業員を解雇するときのようなトラブルは、通常、ありません。」
人事ご担当者様
「ただそうした“退職になるケース”というのは、規定に入れておくべきなのですよね?」
ACROSEEDインタビュアー
「そうですね。就業上のルールとして記載するべきですし、ひとつひとつ丁寧に規定にしていくべきです。労働契約だけ残ってしまうのも不自然ですし。」
人事ご担当者様
「契約書にもそうした“在留資格がなくなったら契約は終了します”といったことをちゃんと明記していかなければいけないのですよね?」
ACROSEEDインタビュアー
「そうですね。」
人事ご担当者様
「そうしたところの整備はまだできてないですね…」
ACROSEEDインタビュアー
「いろいろなお話しありがとうございます。すいません、最後に中国の方やインドの方を採用するにあたって重視するポイントはどのようなところでしたか?さきほど日本語というお話しもありましたが。」
人事ご担当者様
「そうですね、日本語のところは大きかったです。最初から日本語は達者でしたので、ポイントは大きかったです。」
ACROSEEDインタビュアー
「本当に今日は貴重なお話しありがとうございました
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